年の瀬が近づくにつれ、秋ドラマが続々と終了しています。今期は「VIVANT」の後という期待にも負けず、実話を基にした青春ストーリーの日曜劇場「下剋上球児」や大人気シリーズの最新作で、これまでと変わらない登場人物の日常を見ることができた「きのう何食べた?Season2」など豊作ぞろいの印象でした。その中で、登場人物のセリフが心に刺さる、「新しいタイプのドラマ」と呼ばれた作品がありました。それはフジテレビ系で木曜22時より放送されていた「いちばんすきな花」です。12月21日に最終回を迎え、いままでの伏線が一挙に回収されました。
この記事ではそんな「いちばんすきな花」について紹介していこうと思います。この話では、明確なストーリー展開というものはなく、主人公4人の会話劇をメインに話が進んでいきます。そのため、それぞれ登場人物ごとに振り返っていこうと思います。どうぞ最後までご覧になってください!
「いちばんすきな花」基礎情報をおさらい!
「いちばんすきな花」はフジテレビ系で木曜10時から放送されていたドラマです。監督は風間大樹さん、脚本は生方美久さん。2022年に放送され、社会現象になるほど大ヒットを巻き起こしたドラマ「silent」のスタッフが再集結し手掛けた作品です。そのため、放送中は「silentにはなれない」などSNSやネットニュースで心無い声が上がりました。しかし、同じ制作陣が手掛けたと言えど、作品としては別物です。違うのは当然ですよね。
作品のメインテーマは「男女の間に友情は成立するのか?」「2人組」を作ることが苦手な登場人物が、それぞれの人生と向き合います。ストーリーとしては、塾講師の潮ゆくえ、美容師の深雪夜々、会社員の春木椿、イラストレーターの佐藤紅葉の4人がひょんなことから出会い、交流を深めていくという話です。彼らは次第に定期的に集まるようになり、とりとめのない話をするようになります。彼らの関係は友達とも家族ともいえない存在。そのため、人生の悩みを気兼ねなく共有できるのです。恋愛物語でも、ホームドラマでもなく会話劇に近い新しいジャンルのドラマになりました。雰囲気としては「花束みたいな恋をした」の脚本を手掛けた坂元裕二さんの作品に近いと言えるでしょう。
「いちばんすきな花」主要登場人物 -潮ゆくえ-
潮ゆくえを演じたのは多部未華子さんです。ゆくえは塾講師の34歳。彼女は高校の頃から仲良くしていた男友達、赤田(演:仲野太賀さん)がいました。しかし赤田は結婚、新しく妻となる人から「もうゆくえとは会わないでほしい」と言われてしまいました。日課である二人のカラオケも禁止され、ゆくえは「男女の友情関係」について考えることになります。彼女としては赤田と変わらない関係で仲良くしておきたいのに、世間一般の価値観は違うらしい…恋愛は人生では余り重要ではないタイプです。家では妹(演:齋藤飛鳥さん)と同居しています。夜々のいいお姉ちゃん的存在。ちなみに登場人物の名前は季節にちなんでいるのですが、『潮』は夏によく見ることができる現象です。
-深雪夜々-
夜々は26歳の美容師です。演じているのは今田美桜さん。今田さんが演じているので説得力が増しますが、彼女は男性と友達として関わりたいのに、その美貌のせいで恋愛と勘違いされてしまうことに困っていました。そのせいで今も美容院のスタッフの一人からも言い寄られています。加えて、4人兄弟の末っ子かつ唯一の女の子と言うことで、母親(演じているのは斉藤由貴さん。はまり役でした)から過干渉を受けることにも困っており、気苦労の多い人生を送っています。「夜々のためを思って言ってるの」が口癖の母は、彼女の交友関係から趣味嗜好まで口出しをしてくるため、夜々は鬱陶しさを感じていました。それが爆発したのが第4話。母と距離を置きつつ、優しさも垣間見られたエンディングは話題を集めました。かなりはっきりと物を言う性格で、紅葉がバイト先の後輩に悪口を言われた時も強い口調で反論しています。恋愛面では椿に対し淡い恋心を抱いていましたが、すっぱり振られたことでふっきれています。『深雪』は冬のイメージですね。
-春木椿-
椿は会社員の37歳です。演じているのは松下洸平さん。お人よしで、カタツムリのことを「でんでんむし」と言うような心優しい人です。しかし、その性格ゆえに「都合のいい人」認定されてしまうのが悩み。恋人と婚約をして念願の新居を決めた最中、恋人に新たなパートナーができ婚約破棄されてしまいます。そのため大きく綺麗な一軒家に一人で住むことになりますが、幸か不幸か?4人が集まる拠点となりました。「人よりちょっとずれている」が共通項の4人ですが、彼は4人の中でも独特の観念を持っています。実家はお花屋さんですが桜が苦手な、4人の中のリーダー的存在です。余談ですが、松下さんは現在多くのCMに出演されています。そのため、Tverでこのドラマを見た際に、全てに出演している時がありました(笑)「春木」と名前にあるように、春をイメージしたキャラクターです。
-佐藤紅葉-
紅葉はイラストレーターを目指しているフリーターの27歳。ゆくえの幼馴染ですが彼女の妹とはプールに沈められて以来敬遠しています。自分が余り大切ではなく、学生時代も体のいい友達として扱われていました。学生の頃のあだ名は「パンダ」。彼の顔の良さを都合よく利用され、客寄せパンダとして扱われてきました。大人になった今でも、同窓会の幹事をしたり友達が多いことを理由に面倒ごとを頼まれています。その友達も本当に心が分かり合う友達ではないのですが…しかし、他の3人と出会ったことで自分を次第に大切にするようになり、自分の意見もきちんと言えるようになります。特に年が近い夜々とは仲良しで、持ちつ持たれつの関係を築きました。終盤ではイラストの仕事もだんだん貰えるようになりました。作中では幼馴染でお姉ちゃん的存在のゆくえに恋心を抱きますが、「恋人として見れない」と言われ振られてしまいました。「紅葉」は言わずもがな秋のイメージですね。
-志木美鳥-
息の合う4人ですが、出会いも偶然で境遇もバラバラです。しかし、実はある共通点があったのです。それは「志木美鳥」という女性に人生の中で会っているということ。ゆくえは学生時代の塾講師として、椿は中学の同級生として、夜々はいとことして、紅葉は高校の時の数学教師として、美鳥という存在に会っているのです。しかも、椿の家の前の住人は美鳥、初めて4人があった時に紅葉が会おうと思っていた人も美鳥という偶然ぶり。(紅葉は美鳥がまだ椿の家に住んでいると思っていたため)ですが、美鳥に対する皆の評価は全く別。「とても厳しく、愛想のなかった」と言う人もいれば、「可愛がってくれた」と言う人もいました。そんな美鳥は、ドラマ終盤で登場。4人に再会することになります。実は美鳥は家庭事情やこれまでの人生での不幸な出来事により、居場所を転々とせざるをえなかったのでした。そんなアンラッキーな人生の中、「ちょっとだけ他の人とは違う人」と出会った美鳥。それが彼らでした。そんな美鳥を演じたのは、田中麗奈さんです。4人がそれぞれの季節なら、志木は「四季」という意味でしょう。
まとめ
「いちばんすきな花」というワードは作中に何度も登場。「花」ということばに込められた意図もくるくると変わりました。加えて、今を時めく豪華俳優が主演をはり、会話劇中心の演技合戦も見ものでしたね。まだキャリアも浅い脚本の生方さん。今後もこのような新時代のドラマを見せてくれると思うと楽しみですよね!
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