「恋はつづくよどこまでも」が残した恋愛ドラマ史への影響 ドラマ映画アニメ★考察ラボ

「恋はつづくよどこまでも」が残した恋愛ドラマ史への影響

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はじめに

2020年1月から3月にかけて放送されたTBS系ドラマ「恋はつづくよ、どこまでも」は、単なるヒット作品の枠を超え、日本の恋愛ドラマ史において重要な転換点となった作品です。初回視聴率9.9%からスタートし、最終回には15.4%を記録するという右肩上がりの成功曲線を描いただけでなく、配信プラットフォームでの驚異的な再生数や、SNSでの圧倒的な話題性によって、テレビドラマの新しい可能性を示しました。

本記事では、「恋つづ」が残した恋愛ドラマ史への影響を多角的に検証し、放送から5年が経過した現在、この作品がどのように再評価されているのかを考察します。配信時代の幕開け、SNS連動型ドラマの成功モデル、コロナ禍における癒しの役割など、複数の観点から本作の意義を探っていきます。

原作は円城寺マキによる同名漫画で、上白石萌音と佐藤健のW主演により実写化されました。東京ドラマアウォード2020三冠、Yahoo!検索大賞2020での複数部門受賞、TVerアワード2020ドラマ大賞など、数々の栄冠に輝いた本作の足跡を辿ります。詳しくは公式サイトはこちらからご覧いただけます。

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配信時代の幕開け|TVerで歴史を塗り替えた記録

「逃げ恥」を超えたTBS史上最高再生回数

「恋はつづくよ、どこまでも」が恋愛ドラマ史に残した最大の功績の一つが、配信プラットフォームにおける圧倒的な成功です。民放公式テレビポータル「TVer」での無料見逃し配信において、第7話の再生回数が283万回を記録し、それまでTBS史上1位だった「逃げるは恥だが役に立つ」最終回の266万回を超えました。さらに第8話では302万回、最終回では355万回という驚異的な数字を叩き出したのです。

全10話合計では1,841万回という同サービス史上最高再生回数を記録し、2021年に発表された「TVerアワード2020」ではドラマ大賞(年間総再生数1,878万回)とドラマエピソード賞(最終回355万回)の二冠を達成しました。この数字は、テレビドラマの視聴スタイル、評価軸が大きく変わりつつあることを示す象徴的な出来事でした。

個人視聴率時代を勝ち抜く番組作り

「恋つづ」が配信で大成功を収めた背景には、時代の転換点が存在していました。2020年3月、ビデオリサーチは従来の「世帯視聴率」から「個人視聴率」への移行を発表しています。これは、生活者のライフスタイルの多様化やテレビ視聴形態の変化に対応するための措置でした。

メディア評論では、「恋つづ」が示した「振り切った番組作り」こそが個人視聴率時代に求められるものだと指摘されています。王道の少女漫画の世界をそのまま再現したかのような演出や台詞選びは、恋愛ドラマ好きの女性の願望を満たすことに成功しました。ターゲットを明確にし、そのニーズに徹底的に応える姿勢が、配信時代の新しい成功モデルを確立したのです。

スマホサイズで観る新しい視聴体験

配信での成功を分析する上で見逃せないのが、「恋つづ」の視聴体験がスマホサイズに最適化されていたという点です。批評家からは「このキュンキュンはテレビサイズではなくスマホサイズ向き。リビングの大画面テレビよりも手のひらサイズで観られる環境があっている」という指摘がなされています。

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SNS連動型ドラマの成功モデル|拡散される「胸キュン」

Twitterトレンドを席巻した毎週火曜日

「恋はつづくよ、どこまでも」は、SNS時代の恋愛ドラマの理想形とも呼べる存在でした。放送期間中、毎週火曜の放送後にはTwitterで関連ワードがランキング上位を賑わせ、「#恋つづ」「#天堂担」といったハッシュタグが何度も日本のトレンド1位を獲得しました。時にはTwitterの世界トレンドランキングで1位になることもあったのです。

番組終了後もSNSでの話題は絶えず、公式アカウントのフォロワー数は増え続けました。Instagramは108万人、Twitterは44万人という驚異的な数字を記録し、他の医療ドラマの公式SNSフォロワー数が平均1〜2万人程度であることと比較すると、その圧倒的な影響力が理解できます。

「恋つづロス」という社会現象

最終回放送後、「恋つづロス」という言葉が視聴者の間で広まりました。ドラマの終了を惜しむ声があまりにも多く、「#恋つづ11話」という架空のハッシュタグまで誕生したほどです。番組公式Twitterは「おはようございます #恋つづロス の皆様これを見て元気出してください 寂しくなったら何度でも #追いつづ してください!」と投稿し、ファンとの交流を続けました。

最終回放送後5か月以上が経った2020年8月31日、主演の上白石萌音が「CDTVライブ!ライブ!」に出演し、ドラマの映像が5秒ほど流れただけで「#恋つづありがとう」がTwitterでトレンド入りするという現象が起きています。この持続的な影響力は、単なる一過性のブームではなく、視聴者の心に深く刻まれた作品であることを証明しています。

シーンの共有と二次拡散

SNSでの盛り上がりにおいて特徴的だったのが、「好きな場面」の共有という動きです。「後ろからハグ」「治療だキス」「壁ドン」「頭ポンポン」など、いわゆる胸キュンシーンをファンの間で共有しようという投稿が溢れました。公式アカウントが投稿する佐藤健のビジュアル写真には「最高」「永遠に見ていられる」といった熱狂的なコメントが寄せられ、こうした投稿が二次的に拡散されることで、番組の認知度がさらに高まっていったのです。

この「シーンの共有」という視聴スタイルは、従来のテレビドラマにはなかった新しい楽しみ方を提示しました。視聴者は単に作品を観るだけでなく、好きなシーンをSNSで共有し、他のファンと感想を交換することで、より深い体験を得ることができたのです。

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コロナ禍における癒しの役割|時代が求めた「恋つづ」

パンデミック初期の精神的支柱

「恋はつづくよ、どこまでも」が大きな影響を持った理由の一つに、放送時期がコロナ禍の始まりと重なっていたことがあります。2020年1月から3月という放送期間は、日本国内で新型コロナウイルスへの危機感が高まり始めた時期と一致しており、人々が不安を抱え始めていた時代でした。

批評家は「下がりっぱなしの口角と免疫力をあげてくれるのは恋つづしかない」と評し、「総計約50時間ニヤニヤし続けたら表情筋がかなり元に戻った」と述懐しています。純粋で前向きな七瀬の姿、甘く切ないラブストーリーが、先行き不透明な時代における精神的な支えとなったのです。

特別編の異例の長期放送

後番組「私の家政夫ナギサさん」が新型コロナウイルスの影響で放送開始を延期したため、「恋つづ」は4月から5月にかけて異例の特別編放送を実施しました。4月14日に「胸キュン!ダイジェスト」、4月21日から5月5日まで第7話・第8話・第9話の特別編、5月12日に最終話の再編集版が放送されたのです。

この特別編放送により、「恋つづ」は事実上5か月間にわたって視聴者と共にありました。外出自粛が求められる中、繰り返し観られる胸キュンドラマの存在は、多くの人々にとって貴重な癒しとなったのです。視聴者からは「やっぱ恋つづ最強だね」「来週まで頑張って生きますありがとうございます」といった声が寄せられました。

大映ドラマの系譜を継ぐ安心感

ある批評では、「恋つづ」が往年の大映ドラマ「スチュワーデス物語」の系譜を継いでいると指摘されています。七瀬が「厄介者の岩石」と呼ばれる設定は、「ドジでのろまな亀」という名台詞を彷彿とさせます。ベタな展開でありながら、誰も傷つけず、意地悪な人が登場しない安心感のある世界観が、視聴者を癒したのです。

「このドラマには意地悪な人が全く出てこない。病院関係者でヒロインをいじめるひとは一人もいないし、誰かを裏切って人を陥れる人もいない」という特徴は、不安定な時代において特に価値を持ちました。見ていてイヤなマイナス感情にならない作品性が、多くの視聴者に支持された要因でした。

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恋愛ドラマジャンルの復権|低迷からの一石

恋愛ドラマのプライオリティが下がっていた時代

「恋はつづくよ、どこまでも」が放送された2020年初頭、地上波ドラマにおける恋愛ジャンルのプライオリティは下がっていました。視聴者の嗜好が多様化し、サスペンスやヒューマンドラマ、社会派ドラマに注目が集まる一方で、純粋な恋愛ドラマは視聴率を取りにくいとされていたのです。

そうした風潮の中、「恋つづ」は若年層を含む女性視聴者を強く惹きつけることに成功し、恋愛ジャンルに一石を投じました。公式ホームページに設置された「ファンメッセージ」コーナーには10代・20代女性からのコメントが多数寄せられ、若者のドラマ離れが叫ばれる中で、リアルタイム視聴する女性が急増したのです。

王道を振り切る勇気

「恋つづ」の成功は、王道の恋愛ドラマを「振り切った」ことにありました。少女漫画の世界をそのまま再現し、ベタベタの胸キュン要素を詰め込むという戦略は、一歩間違えれば「古臭い」「恥ずかしい」と受け取られかねないものでした。しかし制作陣は、その路線を徹底的に貫き通したのです。

批評家は「良い意味でコテコテの少女漫画という内容。男性陣は観ているだけで恥ずかしくなっちゃうかも」としながらも、「それでも視聴率が取れたのは佐藤健だからよかった」と分析しています。ターゲット層に向けて振り切る勇気が、結果として幅広い支持を獲得することに繋がったのです。

キャスティングの重要性

恋愛ドラマにおけるヒットの鉄則は、主演カップルのキャスティングです。「恋つづ」では上白石萌音と佐藤健の組み合わせが絶妙にハマりました。上白石の演じる純粋でドジっ子の七瀬、佐藤の演じる超ドSの天堂というキャラクター設定、さらに二人の身長差というビジュアル的要素まで、すべてが功を奏したのです。

特に佐藤健の存在は大きく、「佐藤健史上1番のイケメン役」という評価を得ました。2020年12月に発表されたYahoo!検索大賞では、大賞に「佐藤健」、女優部門賞に「上白石萌音」が選出され、主演二人のスター性が作品の成功に直結したことが証明されています。

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数々の記録と受賞歴|客観的評価の高さ

視聴率の右肩上がり

「恋はつづくよ、どこまでも」は、初回視聴率9.9%と10%を割る滑り出しでした。しかし第6話から4週連続で右肩上がりに視聴率を伸ばし、第9話では14.7%、最終回では15.4%を記録しています。平均視聴率・最高視聴率共に火曜ドラマ枠で3位という成績は、口コミとSNSの拡散によって視聴者を獲得していった証です。

この「初回は低いが最終回に向けて上昇する」という視聴率推移は、配信時代における理想的なパターンとも言えます。リアルタイム視聴と見逃し配信を組み合わせることで、話題が話題を呼び、新たな視聴者を獲得し続けたのです。

ドラマ賞の総なめ

「恋つづ」は数々のドラマ賞を受賞しました。東京ドラマアウォード2020では作品部門優秀賞、助演男優賞(佐藤健)、主題歌賞(Official髭男dism「I LOVE…」)の三冠を達成。第104回ザテレビジョンドラマアカデミー賞でも複数部門で受賞しています。

第9話時点では、ドラマ視聴者の満足度を調査した「オリコンドラマバリュー」で満点の100ポイントを叩き出すという快挙を達成しました。視聴率という量的評価だけでなく、視聴者満足度という質的評価においても最高の評価を得たのです。

商業的成功も顕著

Blu-ray・DVDの売上でも「恋つづ」は記録を打ち立てています。2020年7月発売のDVD-BOXは「オリコン週間DVDランキング」で週間売上3.9万枚で初登場1位を獲得。同週のBlu-ray Discランキングでも2.8万枚で2位を獲得しました。2020年度Blu-ray&DVD売上高では10億2,800万円で1位という驚異的な数字を記録しています。

この商業的成功は、単なる一過性のブームではなく、視聴者が繰り返し観たいと思う作品性を持っていたことを示しています。配信での再生数、SNSでの拡散、パッケージの売上という三つの指標すべてで成功を収めたことが、本作の影響力の大きさを物語っています。

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5年後の再評価|色褪せない「恋つづ」の魅力

ディレクターズカット版の繰り返し放送

「恋はつづくよ、どこまでも」は、放送終了後も繰り返し再放送されています。2020年12月29日には「ディレクターズカット版全話一挙放送SP」が放送され、2022年12月31日と2023年1月2日にも「一挙放送スペシャル」が実施されました。年末年始の特別番組として選ばれることは、作品の普遍的な魅力が認められた証です。

視聴者からは「放送から5年経っても何度でも見返せる」「恋つづの魅力は色褪せない」という声が寄せられています。時代を超えて愛される作品としての地位を確立したと言えるでしょう。

キャストのその後の活躍

「恋つづ」以降、主演二人のキャリアは大きく飛躍しました。上白石萌音は2021年度下半期のNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」でヒロインを務め、国民的女優としての地位を確立。佐藤健は「るろうに剣心」シリーズの完結編で改めて演技力の高さを示し、俳優としての評価をさらに高めました。

二人が「恋つづ」で見せたケミストリーは今でも語り草となっており、「たけもね」カップルとして多くのファンに愛され続けています。作品が俳優のキャリアにも大きな影響を与えたことは間違いありません。

恋愛ドラマの指標として

現在でも新しい恋愛ドラマが放送されるたびに、「恋つづ」が比較対象として言及されます。配信での再生数、SNSでの話題性、視聴者満足度といった指標において、「恋つづ」は一つの基準点となっているのです。制作者側も「恋つづのような成功」を目指す傾向があり、本作が恋愛ドラマジャンルに与えた影響の大きさが窺えます。

ランキングサイトでは「こんなにも、べったべたな恋愛みたことない。そして、みてキュンキュン最後まで見飽きることなく見続けられました」「恋つづが終わって5年…そろそろ逃げ恥のように続編期待して待っています」という声が寄せられ、続編を望む声も根強く残っています。

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おわりに|恋愛ドラマの未来を切り拓いた「恋つづ」

「恋はつづくよ、どこまでも」は、複数の意味で日本の恋愛ドラマ史における転換点となりました。配信プラットフォームでの圧倒的成功は、テレビドラマの評価軸が視聴率だけではなくなったことを示しました。SNSとの連動による拡散力は、視聴者参加型のドラマ体験という新しい形を提示しました。そしてコロナ禍という困難な時代において、多くの人々に癒しと希望を与えたのです。

本作の成功は偶然ではありません。王道の恋愛要素を振り切って詰め込む勇気、ターゲット層のニーズに徹底的に応える姿勢、キャストの魅力を最大限に引き出す演出、そして時代が求めていた作品を提供できたタイミングの良さ。すべてが合致した結果が、あの社会現象でした。

TVerでの総再生回数1,878万回、最終回視聴率15.4%、オリコンドラマバリュー満点の100ポイント、2020年度Blu-ray&DVD売上高1位(10億2,800万円)という数字が示すのは、量的にも質的にも圧倒的な支持を得た作品であるということです。東京ドラマアウォード三冠、Yahoo!検索大賞での複数部門受賞、TVerアワード二冠という栄誉は、その価値を客観的に証明しています。

放送から5年が経過した現在も、「恋つづ」は恋愛ドラマファンの間で語り継がれています。配信プラットフォームで何度も見返され、SNSで思い出が共有され、新しい視聴者を獲得し続けています。この持続的な影響力こそが、本作が単なるヒット作ではなく、時代を代表する作品となった証なのです。

「恋はつづくよ、どこまでも」は、恋愛ドラマの新しい可能性を切り拓きました。配信時代における成功モデル、SNS連動型ドラマの理想形、そして困難な時代に求められる癒しの力。これらすべてを体現した本作は、今後も恋愛ドラマ史における重要な作品として、再評価され続けることでしょう。

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