つるまいかだのデビュー作|連載開始から大反響
「メダリスト」は、つるまいかだにとって初の連載作品であり、デビュー作です。講談社「月刊アフタヌーン」にて2020年7月号から連載が開始され、現在も連載中の人気作品となっています。
作者のつるまいかだは愛知県出身で、本作の舞台も作者の出身地である愛知県となっています。物語の中で主人公いのりが練習拠点とするスケートリンクは、名古屋市に実在する名古屋スポーツセンター(大須リンク)がモデルとなっており、ファンたちの「聖地」となっています。
デビュー作でありながら、連載開始直後から高い評価を受け、わずか2年後の2022年には「次にくるマンガ大賞」コミックス部門で第1位を受賞。以降も数々の賞を受賞し続けている注目作品です。
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輝かしい受賞歴の数々
次にくるマンガ大賞2022|コミックス部門第1位
2022年、「次にくるマンガ大賞」のコミックス部門で第1位を受賞しました。この賞は、書店員や漫画家など漫画業界の関係者が「次に来る」と期待する作品を選ぶもので、「メダリスト」はその筆頭に選ばれたのです。
米津玄師も、この「次にくるマンガ大賞」にランクインしたタイトルを見て、面白そうだと思った作品をいくつか買っていた中で、本作に出会ったと語っています。
第68回小学館漫画賞|一般向け部門
2022年度、第68回「小学館漫画賞」の一般向け部門を受賞しました。小学館漫画賞は1955年に創設された歴史ある賞で、優れた漫画作品に贈られる権威ある賞です。デビュー作でこの賞を受賞したことは、作品のクオリティの高さを証明しています。
第48回講談社漫画賞|総合部門
2024年度、第48回「講談社漫画賞」の総合部門を受賞しました。連載誌が講談社の「月刊アフタヌーン」であることから、出版社からの信頼も厚いことが伺えます。
マガデミー賞2022|主演女優賞
漫画のキャラクターを讃える漫画アワード「マガデミー賞2022」において、主人公・結束いのりが主演女優賞を受賞しました。キャラクターそのものが評価されるという珍しい賞で、いのりというキャラクターの魅力が広く認められた証となっています。
作品の魅力①|ハイクオリティな作画
フィギュアスケートという難しい題材
フィギュアスケートは、競技自体が非常に繊細で、漫画での表現が難しいとされるスポーツです。氷上での華麗な動き、ジャンプの瞬間の躍動感、着氷時の緊張感など、静止画である漫画で表現するには高い画力が求められます。
つるまいかだは、この難しい題材を見事に描き切っています。演技シーンでは、キャラクターの感情が表情や身体表現にエモーショナルに表れており、読み進めていくごとに胸に熱いものがたぎっていくと米津玄師も語っています。
1ページ目からの圧倒的な絵の力
米津玄師は作品について「1ページ目からすごく絵に力があって。氷上の演技シーンも驚くほどに絵の圧が強くて、読んでいるだけでハッと息を呑む瞬間が多かった」と評しています。
デビュー作とは思えないハイクオリティな作画は、読者を一瞬で作品世界に引き込む力を持っています。スケートの演技だけでなく、日常のシーンにおいても登場人物の感情が細やかに描かれており、作品全体に一貫した高いクオリティが保たれています。
作品の魅力②|深いヒューマンドラマ
大人と子供の二つの視点
つるまいかだは、作品のテーマについて「『才能』とは、自信を与えてくれる一方で、奪うものでもあると思っていて。それを大人と子供の両方の視点から描いて考えていくことが、『メダリスト』の大きなテーマです」と語っています。
主人公は当初いのりだけでしたが、編集者の助言を受けて司もメインに据えることになりました。青年誌である「月刊アフタヌーン」の読者に近い目線の主人公として司を配置することで、大人と子供の関係性がストーリーの軸になっていったのです。
挫折と再生の物語
明浦路司は、アイスダンスで全日本選手権に出場した経験を持ちながら、アイスショーの就職先が決まらず、スケーターとしての夢を諦めかけていました。司がスケートを始めたのは高校に入ってからと極めて遅く、コーチを受けたのは20歳になってからという異色の経歴を持っています。
そんな司が、小学5年生のいのりと出会い、彼女のコーチを引き受けることで、再びスケートへの情熱を取り戻していく。一方のいのりも、独学でスケートを練習していたところから、司の指導によって才能を開花させていきます。
この二人の成長物語が、読者の共感を呼んでいるのです。
才能をめぐる葛藤
作品には、天才少女・狼嵜光や、銀メダリストの息子・鴗鳥理凰など、様々な才能を持つ選手たちが登場します。彼らはそれぞれに才能ゆえの苦悩を抱えており、その葛藤が丁寧に描かれています。
いのり自身も、才能があるのか、努力で追いつけるのか、常に自問自答しながら成長していきます。スポーツ漫画でありながら、人間ドラマとしての完成度が高く、多くの読者の感動を呼んでいるのです。
作品の魅力③|リアルなフィギュアスケート描写
鈴木明子との協力関係
原作漫画の段階から、プロフィギュアスケーターの鈴木明子が取材協力として関わっています。鈴木明子は「もともと原作でもいろいろ取材を受けて関わっていた」と語っており、作品のリアリティを支える重要な存在となっています。
実際の技術的な部分、選手の心理状態、練習方法など、現役選手だからこそわかる細かな描写が作品に活かされており、フィギュアスケートファンからも高い評価を受けています。
バッジテストや大会のリアルな描写
作品では、バッジテスト(級別テスト)の詳細、名港杯や西日本小中学生大会といった実際に存在する大会、中部ブロック大会から全日本選手権へと続く選考の流れなど、リアルなフィギュアスケート界の仕組みが描かれています。
これらの描写は、実際のフィギュアスケート界を知る人々からも「正確だ」と評価されており、作品のリアリティを大きく高めています。
商業マンガとしてのプロ意識
つるまいかだは、作品について「『私の作品』というよりも『商業マンガとして人を喜ばせられる、エンタテインメントであろう』という意識で描いています」と語っています。
「マンガ家デビューは念願でしたが、それ以上にフィギュアスケートという素敵な題材をお借りしていること、アフタヌーンという歴史ある雑誌の1枠をいただいていることに、誇らしさと責任感を感じている」というプロ意識の高さが、作品のクオリティを支えているのです。
第1話を描いた際には「私自身もびしょびしょに泣きながら描いていた」と語るほど、一筆ごとに思いが込められています。この真摯な創作姿勢が、多くの読者の心を打ち、数々の賞を受賞する作品を生み出したのです。






