はじめに
今回は『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』。を鑑賞後、その素晴らしい音楽の数々が、今もなお記憶に鮮やかに蘇ります。
試合の熱気、映像美、そしてストーリー展開、いずれも素晴らしい完成度を誇る本作ですが、今回は作品を彩る”音楽”に着目し、その魅力を改めて分析して参りたいと思います。
「ハイキュー!!」シリーズの魅力の一つとして、これまで数々の名曲を生み出してきたSPYAIRの存在は欠かせません。劇場版である本作においても、主題歌を担当した彼らの楽曲が、試合の興奮と感動を、観客である我々に強く焼き付けてくれました。本稿では、劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」の音楽の魅力を、具体的なシーンにも触れながら、詳細に解説して参ります。
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SPYAIR「オレンジ」が織りなす、ハイキュー!!の新たなアンセム
劇場版のために書き下ろされた主題歌、SPYAIRによる「オレンジ」。初めて耳にした時、その場にいた多くの観客が、感銘を受けたのではないでしょうか。
「ハイキュー!!」の世界観を、これほどまでに表現した楽曲は、他に類を見ないと言っても過言ではありません。
力強いバンドサウンドに乗せて歌われる歌詞は、夢を追いかけることの素晴らしさ、仲間との絆の尊さ、そしてライバルに対する熱い敬意を、力強く、そして繊細に表現しています。
まさに、「ハイキュー!!」という作品そのものを体現した楽曲と言えるでしょう。
ボーカルIKEさんの、力強さと繊細さを兼ね備えた歌声もまた、歌詞の一つ一つに命を吹き込み、聴く者の心を強く揺さぶります。
激闘を終えた後、興奮冷めやらぬ中で流れる「オレンジ」は、多くの観客の涙腺を刺激したのではないでしょうか。
エンディングロールが流れ終わるまで、劇場を後にすることができなかった方も少なくないはずです。
試合の臨場感と高揚感を演出する、緻密に計算されたBGM
劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」の音楽の魅力は、主題歌だけに留まりません。
試合中のBGMもまた、作品を語る上で欠かせない要素の一つと言えるでしょう。
試合展開に合わせて、緩急自在に変化する音楽は、まるで観客席で試合を間近で観戦しているかのような、臨場感を与えてくれます。
例えば、両校の点数が拮抗し、手に汗握る攻防が続く場面では、アップテンポで緊迫感のある音楽が、試合の緊張感をさらに高めます。
そして、日向の渾身のスパイクが決まる瞬間、研磨が意表を突くトスを上げる瞬間など、ここぞという場面では、高揚感を煽るような、ドラマティックな音楽が流れ、観客の心を熱くさせてくれます。
音楽の力によって、試合の興奮が何倍にも増幅されることを、実感できるのではないでしょうか。
静寂が生み出す、緊張と解放
劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」では、音楽の効果的な使い方が随所に見られます。
特に印象的だったのは、音楽を”意図的に使用しない”演出です。
試合中、一瞬だけ音が消え、静寂が訪れる瞬間があります。
例えば、日向がサーブを打つ直前、研磨がトスを上げる直前など、選手たちが集中力を極限まで高めている場面。
そんな時、音楽は一切流れず、観客席からのざわめきや、選手たちの息づかいだけが聞こえてきます。
その静寂が、試合の緊張感を、より一層、際立たせる効果を生み出していると言えるでしょう。
そして、張り詰めた糸が切れるように、再び音楽が流れ出す瞬間のカタルシス!
音楽を”使用すること”だけでなく、”使用しないこと”によって、より音楽の力を引き出す演出は、本作の音楽における特筆すべき点と言えるでしょう。
音楽が紡ぎ出す、孤爪研磨の心情
「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」では、音楽がキャラクターたちの心情を表現する役割も担っています。
特に印象的だったのが、音駒高校のセッター・孤爪研磨の心情描写です。
研磨は、普段はポーカーフェイスで、何を考えているのかを周囲に悟らせない、ミステリアスなキャラクターとして描かれています。
しかし、彼もまた、心の中には熱い想い、そして葛藤を抱えている一人の高校生です。
そんな研磨の心情を、音楽が繊細に表現しているシーンが、作品の中で効果的に使用されています。
例えば、研磨が過去のトラウマと向き合い、バレーボールと改めて向き合うシーン。
静かで、どこか切なさを感じさせる音楽が、研磨の揺れ動く心情を、観る者に伝えているかのようでした。
また、研磨が試合中に見せる、ふとした表情の変化。
その瞬間、音楽もまた、繊細に変化し、彼の心情をより深く表現しているように感じられます。
音楽を通して、キャラクターたちの心情に寄り添うことができるのも、劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」の大きな魅力と言えるでしょう。
サウンドトラックで、感動を再び
劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」の音楽の魅力に取り憑かれた方は、ぜひ、サウンドトラックも手にとってみてください。
主題歌「オレンジ」はもちろんのこと、試合中のBGM、そしてキャラクターたちの心情を表現する繊細な音楽など、劇場で味わった感動が鮮やかに蘇ります。
サウンドトラックを聴きながら、映画のシーンを思い出すのも良いでしょう。
あるいは、目を閉じ、自分だけのハイキュー!!の世界に浸るのも一興です。
劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」の世界を、音楽を通して、さらに深く楽しむことができます。
まとめ|劇場版ハイキュー!!は心を揺さぶる名曲の宝庫
劇場版「ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」を鑑賞後、劇中で流れた音楽が、頭から離れなくなった方も多いのではないでしょうか。
それほどまでに、この作品の音楽は、作品と見事に調和し、観る者の心を強く揺さぶる力を持っています。
主題歌「オレンジ」はもちろんのこと、試合中のBGM、そしてキャラクターたちの心情を表現する音楽…
ぜひ、一度、劇場で、そのすべてを体感してみてください。
劇場で鑑賞された方も、改めて音楽に注目して作品を見返すことで、新たな発見があるはずです。